🇯🇵 日本の税の仕組み(基本構造)
1. 税の種類と管轄
- 国税(財務省・国税庁)
- 所得税、法人税、消費税、相続税など
- 国の財源として徴収
- 地方税(総務省・自治体)
- 住民税、固定資産税、自動車税など
- 地方自治体の運営資金として徴収
- 社会保険料(厚生労働省)
- 健康保険料、年金保険料、介護保険料、雇用保険料など
- 税ではないが「所得」や「報酬額」を課金基準として徴収
2. 仕組みの特徴
- 各省庁が独自に制度を運営し、徴収・管理を分担(縦割り構造)。
- 国民は同時に「税金」と「社会保険料」を支払い、複数の機関に個人情報を提出する必要がある。
- そのため、徴収コスト・事務負担・不公平感が発生している。
⚠️ 二重課税の仕組み(構造的な重複)
1. 所得に対する二重課税
- 財務省(国税庁):所得税として課税
- 総務省(地方自治体):同じ所得に対して住民税を課税
- 厚生労働省(自治体経由):同じ所得を基準に国民健康保険料・年金保険料を徴収
- → 同じ所得に対して3種類の徴収が重なっている
2. 資産に対する二重課税
- 総務省:固定資産税(資産への地方税)
- (検討中)厚生労働省:高齢者向けに「資産に応じた保険料」を課す案
- → 同一資産に対して複数負担が発生する可能性
3. 消費に対する二重課税
- 商品購入時:消費税(国・地方)
- ガソリン・酒・たばこなど:既に物品税が課されており、そこにも消費税が上乗せされる
- → 「税に税がかかる」構造的二重課税
4. 行政面での二重構造(=二重行政)
- 各省庁・自治体・機関が別々に徴収を行うため:
- 同じ人の所得をそれぞれの機関が調査・管理
- 徴収人員・システム・通知業務が重複
- 結果的に「二重コスト」構造を生む
💡 二重課税を生む根本原因
- 省庁間の縦割り行政
- 財務省・総務省・厚労省が連携せず、それぞれ独自に徴収制度を持つ
- 課税ベース(所得・資産・消費)の共有・調整不足
- 同一データを複数機関が使い回して課税
- 徴収システムの分散
- 国税庁・自治体・年金機構がそれぞれ別のシステムを維持
- 財務省の権限構造
- 国税庁を手放したくないため、徴収一元化(歳入庁)に抵抗
✅ 解決策:歳入庁による一元化と税制の整理
1. 歳入庁(National Revenue Agency)の創設
- 国税庁・日本年金機構・地方徴収機関を統合
- 「税・社会保険料・罰金」など、あらゆる公的徴収を一元管理
- 重複を解消し、徴収コストを削減
2. 課税ベースの明確な分離
- 所得税:労働・事業所得に限定
- 社会保険料:労働報酬に連動(所得税との重複を防止)
- 資産税:固定資産・相続に限定し、保険料算定とは切り離す
3. 情報システムの統合
- マイナンバー制度を活用して個人情報を一元管理
- 各徴収機関が同じ所得データを使うことで、課税の重複を自動検出
4. 行政コストの削減
- 国税庁・自治体・年金機構などの徴収職員・システムを統合し、
年間数千億円規模のコスト削減が期待できる
5. 公平で透明な税制へ
- 同一所得に複数税がかからないよう法制度を整理
- 税負担率を明確化し、国民が自分の「総負担」を把握できるようにする
🌍 参考:諸外国の例
| 国名 | 統合機関名 | 特徴 |
| イギリス | HMRC(歳入関税庁) | 税と社会保険を統合徴収 |
| アメリカ | IRS(内国歳入庁) | 連邦税を一括管理 |
| フランス | DGFiP(財務公共局) | 国税・地方税・保険料を統合的に運用 |
| スウェーデン | Skatteverket(税庁) | 国民番号で全徴収を統一管理 |
🔚 まとめ
- 日本では「同じ所得・資産・消費」に対して複数課税が重なり、実質的な二重課税構造が存在する。
- その背景には、省庁ごとの縦割り行政と徴収機関の乱立がある。
- 解決には、
1️⃣ 歳入庁による徴収の一元化
2️⃣ 課税ベースの整理と法制度の再設計
3️⃣ デジタル化による情報共有
が必要である。