「あともう少し……あっ!」
低学年施設では、心地よい緊張感と楽しそうな歓声が聞こえてきます。
洗濯バサミを使って紙コップを積み上げる「ピラミッドづくり」です。

ただ手で積むだけでもバランス感覚が必要ですが、今回は「洗濯バサミでコップの端をつまんで持ち上げていく」という、ちょっぴり難易度の高いルールに挑戦しました。




最初は、洗濯バサミを思った通りの強さで開け閉めすることや、薄い紙コップの端を絶妙な力加減で捉えることに苦戦する姿も見られました。
しかし、子どもたちの表情は真剣そのもの。指先に全神経を集中させ、じっくりとコップを挟み込むと、息をのむようにして慎重に、一段、また一段と積み上げていきます。





高く積み上がるにつれて、周りで見守るスタッフからも「がんばれ…!」と声があがります。グラグラ揺れるコップを慎重にコントロールし、見事に高層ピラミッドを完成させた瞬間には、顔いっぱいに最高の笑顔が弾けました。


「もう一回やる!」「次はもっと高くする!」と、どの子も時間を忘れてイキイキと没頭し、心地よい達成感に包まれた大満足の活動となりました。

🩷この療育活動から得られる4つのメリット
一見シンプルな遊びに見えますが、この「洗濯バサミ×紙コップピラミッド」には、ADHD、ASD、DCD:発達性協調運動障がいを持つ子どもたちの成長を促す要素がぎっしり詰まっています。
1. 微細運動の向上と「力加減(固有感覚)」のコントロール
洗濯バサミを指先で開く動作は、指の筋力や巧緻性(器用さ)を鍛えます。
さらに重要なのは、紙コップを「潰さないように、かつ落とさないように絶妙な力で挟む」という感覚です。発達障害児の中には、力加減のコントロール(固有感覚の統合)が苦手で、つい物を強く握り潰してしまったり、逆に落としてしまったりする子が少なくありません。この遊びを通じて、遊びながら自然と適切な力加減を体得できます。
2. 目と手の協調運動(ビジョントレーニング)
目で見てコップの位置を確認し、そこへ正確に洗濯バサミを持っていき、さらにグラグラしない位置へ積み重ねる――。これは「視覚情報」と「手の動き」を連動させる高度な協調運動です。将来的な「文字を枠内に書く」「箸を上手に使う」「ハサミで線をなぞって切る」といった日常生活の動作の基盤を作ります。
3. 衝動性のコントロールと「慎重さ・集中力」の育成
特にADHD傾向のあるお子さんの場合、気持ちが先走って「早く積みたい!」と雑に動いてしまいがちです。しかし、このゲームは「余程の慎重さ」がなければ崩れてしまいます。「成功させたい」という強いモチベーションが原動力となり、自分の行動や衝動をグッと抑え、深い集中状態(自己コントロール)を維持する素晴らしい練習になります。
4. 空間認知能力の向上と成功体験
「どこに置けば全体のバランスが崩れないか」を立体的に捉えるため、空間認知能力が自然と養われます。また、慎重にやった結果としてピラミッドが完成したときの喜びは、「やればできるんだ!」という強烈な自己肯定感(成功体験)に繋がり、次の課題に挑戦する意欲を育みます。
手先のトレーニング(作業療法)の要素がありながら、子どもたちが「勉強」と感じずに「楽しいゲーム」として夢中になれる、みつばち児童ファームならではのアプローチです。