療育施設ではビジョントレーニングの一環として洗濯バサミで決められた場所を挟んだり、パズルをはめ込んだり、ピアノを弾いたりする活動もしています。
ビジョントレーニングで行われる活動では、視覚と運動機能を結びつけることを目的とした訓練になり、これらの活動が持つ効果について具体的に説明したいと思います。
1. 視覚認知の向上
- パズルをはめ込む活動は、視覚的な認識能力を高めます。パズルのピースを探して適切に組み合わせる過程で、形状や色、サイズなどを視覚的に捉え、細部に注意を払う力が養われます。また、手と目の協調を促進するため、視覚的な注意力や集中力が向上します。
2. 視覚-運動統合の強化
- 視覚-運動統合は、視覚情報を元に運動を行う能力を指します。パズルのピースをはめ込むときや洗濯バサミを挟むときには、視覚情報を素早く処理し、手や指の動きをそれに合わせる必要があります。これにより、視覚と運動をスムーズに結びつける能力が高まり、日常生活の動作がより効率的になります。
3. 手先の器用さと精密な操作
- 洗濯バサミを指定の場所に挟む行為は、手先の微細な動きを鍛えるため、指先の巧緻性や精密な操作が求められます。これにより、手先の感覚や指の独立した運動能力が向上し、細かい作業や手工芸などの能力が発展します。
- ピアノを叩く活動も、音感だけでなく指先の柔軟性や力加減を調整する能力を高めます。ピアノの鍵盤を押す際に指の微細な動きや力の加減を意識することで、手指の協調性が高まり、手先の器用さが向上します。
4. 注意力と集中力の向上
- これらの活動は、いずれも細かい作業や注意を要するものです。パズルを完成させたり、洗濯バサミを正確に挟んだりするためには集中力が必要です。このため、注意を持続させる能力が高まり、他の作業や課題に対しても集中力が向上します。
5. 空間認識能力の向上
- パズルのピースを適切に配置する過程では、空間的な関係性を理解し、物体の位置関係や方向を正確に認識する能力が鍛えられます。これは、日常生活の中で物を整理したり、動かしたりする際にも役立つスキルです。
- 洗濯バサミを挟むときにも、位置を確認して手を伸ばし、物理的にどう動かすかを判断する空間認識力が向上します。
6. 記憶力と問題解決能力の向上
- 特にパズルにおいては、どのピースがどこに合うかを記憶し、試行錯誤しながら解決策を見つけ出す過程が重要です。このような活動は、短期記憶や論理的思考を鍛える効果があります。
- 問題解決能力は、どの順番で作業を進めるか、どうすれば効率的に目標を達成できるかを考えながら行動する力を養います。
7. 感覚統合
- 特にピアノを叩く活動においては、視覚、聴覚、触覚が一緒に働く感覚統合が促進されます。音楽活動は、リズム感や音の高低、手の使い方など、さまざまな感覚を結びつけるため、感覚統合の能力を高めます。
これらの活動は、視覚を中心にした認知機能や運動機能をバランスよく発展させ、日常生活における様々な場面でのスムーズな動作や判断を支える基盤となります。